◆家康の秘薬「忍冬酒」

  「人間50年~」と信長は「敦盛」を好んで謡ったそうですが、この時代の武将の亡くなった年齢は平均で60歳前後だったらしいです。

 その信長は48歳で非業の死、秀吉は62歳、家康は74歳で亡くなったと伝わっています。家康は相当な長寿でした。

 

 スイカズラ

 家康の長寿の陰に秘伝の藥酒があったといわれています。その名は「忍冬酒」。

 忍冬の花、茎、葉を材料に作られましたが、詳しい作り方は秘密でした。家康が覇権を握ってからは大名たちが進物等に利用するなど、大いに人気があったそうです。

 

 ただ、80歳、90歳は珍しくもない現在、忍冬酒がどのような意味があるのか私にはわかりません。

 

 忍冬というのは、実はスイカズラ(吸い葛)のことです。冬も緑の葉を保って耐え忍ぶので忍冬と呼ばれます。猿島にもあちこちに生えています。

 

 おなじみ忍冬唐草模様

 この花は吸うと甘い蜜が出るのでその名が付いたもので、さわやかな甘い香りを放つのが特徴です。

 初夏に甘い香りが漂ってきたら、きっとそれはスイカズラだと思います。猿島だけでなく、里山や道路脇などでも見かける花です。

 

 honeysuckleと呼ばれ、西洋では香水の材料にもなります。また、風呂敷などに使われる忍冬唐草模様と呼ばれる模様はスイカズラをモチーフとしたもので、遠くギリシャからペルシャ、インド、唐を経て日本に伝わったものです。

 

 香りにつられて眺めていると、花の向こうに世界地図やシルクロードが浮かんでくるような神秘的な可愛い花です。(木)

 2020年5月  

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