◆クコ(枸杞)
楊貴妃も好んだ
楊貴妃も好んだといわれ、薬効で知られるクコ(枸杞)は、広く日本全土に分布する低木です。
赤い果実は薬効を期待して杏仁豆腐の添え物にもされ、皆さんお馴染みでしょう。
猿島では発電所前の土手などに自生していますが、時に雑木として刈られ、年々減っていまや絶滅寸前。まっ、興味ない人には邪魔な雑木に過ぎませんから仕方がないのでしょう。
かつては島でも開花まではしばしば観察できたのですが、最近はそれも見かけず、赤い実も数年前に春日社跡で一度見かけて以来目にしていません。(写真は2022年11月市内緑が丘で)
仰天の長寿
この植物には、なかなか面白い伝説がありますので、少し長くなりますが紹介しましょう。
遠い昔の中国、若い女性が80歳~90歳ほどに見える老女を棒で打ち据えていたので、通りがかりの人が見かねてわけを聞いてみました。
「これは私のひ孫です。我が家には私も服用している秘伝の良薬があるのに、この子は飲まないためこのように老いてしまいました。飲めと言ってもいうことをきかないのでこうしているのです」
驚いて若い女性の年齢を聞いてみれば、373歳と答えたそうです。彼女が秘伝の良薬といったのが枸杞のことと医心方(日本最古、平安期の医学書)に書かれています。
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単に長寿といえば福井県などに800歳まで生きた八百比丘尼伝説がありますが、話の奇想天外ぶりは“白髪三千丈の国”にかないません。
そうそう、家康から徳川三代に仕えて108歳まで生きたと記録に残る黒衣の宰相・天海僧正は枸杞飯を好んで食したと伝わっています。(木)